価格は通常、最も抵抗が少ないところを動く価格を動かしたい大口のスペキュレーターにとって最も理想的なのは、出来高が少ない銘柄をトレードするか、流動性が極めて高い銘柄を、出来高が例外的に少ない日にトレードすることだ。
大口のスペキュレーターの反対側の注文数が少ないほど、価格を動かすのは簡単で、経費も少なくて済むからだ。
ちなみに、リスクを取り除くことが目的のヘッジャーは、自分の買いか売りを最良の価格で約定させるために、反対側の注文があることを望む。
私は、先物で一度に何千枚ものポジションを日常的に取るフロア内外のスペキュレーター数人に対して、個別にトレードコーチをしてきた。
彼らのほとんどはめったに、長期戦略の一部としてこれらの大口ポジションを取ることはなかった。
むしろ、大口注文を出せば注文数に片寄りが生じて、トレード経験が少なく未熟なトレーダーが一時的にうろたえて、買い急ぐか売り急ぐと感じたときにポジションを取っていた。

未熟なトレーダーは大衆心理に沿って動く

経験豊富なトレーダーは経験が浅く未熟な相手方をよく、「弱い買い方」や「弱い売り方」と呼ぶ。
大口のスペキュレーターは、経験が浅く未熟なトレーダーがたいてい、「大衆」心理に沿って動くと分かっている。
そのため、適切な状況では、「大衆」が一斉にポジションを取ったり解消したりして、もちろん「大衆」の犠牲によって、大口のスペキュレーターが利益を得られるようにすることが可能になる。
例えば、ある銘柄が上昇トレンドを形成しそうか、すでに形成されていると判断した大口のスペキュレーターがいて、その銘柄を安く買いたがっているとしよう。
彼がすることは、市場の状況が「適切」になるまで待つことだ(適切な市場の状況について説明すると話が広がりすぎるので、ここでは立ち入らない)。
その状況で大量の売り注文が出ると下押し圧力となり、現在の価格以上で買った「弱い買い方」が狼狽売りを始める、と彼は考えているのだ。
「弱い買い方」がわれ先に手仕舞おうとし始めるほど大口の売り注文を出せば、「弱い買い方」はさらに売り注文を出す。
そうなると、大口のスペキュレーターが最初に狼狽売りを引き起こしたときの売り注文は利食いができるし、安値での買い集めもできる。
このような戦略にはどれくらいのコストがかかるだろうか。
まあ、うまくいかなければ、損失は相当に大きくなることもある。
そうでなければ、必要な証拠金はそれほど多額ではない。
大豆トレードの例で出した先物四〇〇枚の証拠金は、当時で三〇万ドルぐらいだった。
トレード経験がそれほど長くない人は、これを大金だと思うかもしれない。
しかし、一〇億ドルの投資口座(今日の基準ではそれほどの大口ではない)を管理している人にとっては、三〇万ドルの証拠金は口座資金の一%の一〇〇分の三にも満たない。
つまり、そのときに大豆相場を一〇セント動かすには、証拠金が三〇万ドルありさえすれば良かった。
ちなみに、本物のヘッジャーによる注文ならば、証拠金はこれよりもずっと少なくなる。

価格を動かす力がある二種類のトレーダー

本物のヘッジャー

ここまでで、価格を動かす力がある二種類のトレーダーについて学んだ。
第一は本物のヘッジャーだ。
彼らの注文を吸収できるほどの注文数が反対側になければ、彼らのトレードは売買注文の流れに非常に大きな片寄りをもたらす可能性がある。
だが、ヘッジャーの主な目的は商取引での経済的リスクを取り除くことなので、一般的には彼らが意図的に価格を動かすか、それによって利益を得るために株式や先物やFX市場を利用することはない。
それどころか、ヘッジャーは通常、最良の価格で約定するように、注文数量の大きさをひた隠しにする
彼らは自分たちの買い注文によって売り気配値が上がることも、売り注文によって買い気配値が下がることも望まない。
しかし、いったんヘッジがうまくできたら、価格がどちらに動こうと、彼らは気にしない。
ヘッジャーが最良の価格で約定するように行うことを、私が実際に目にした例からいくつか示し示しておこう。
一九八二年に、私はメリルリンチ・コモディティーズでCBOT(シカゴ商品取引所)の一般投資家向けブローカーとして働いていた。
洗練度という点で今日と比べると、トレード業界はまだ初期段階にあった。
パソコンも電子取引用のツールもなかったし、立派な経済番組もなかった。
とは言え、シカゴには取引時間に経済ニュースを流す地方局があった。
私たちのオフィスの壁には大型テレビが取り付けられていて、ブローカーは取引時間中にそれを見ることができた。
また、いわゆる「スクワークボックス」もあった。
これは、CBOT、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)、COMEX(ニューヨーク商品取引所)のさまざまなピットに接続している電話回線に、電話会議用のスピーカーを取り付けたものだ。
フロアで働くメリルリンチの従業員は一日中、各ピット(金融商品、穀物、金属、畜産、通貨)を見て回る。
そして、だれでも参加できる電話でメリルリンチのブローカーたちに、ピットで何が起きているかをできるかぎり伝える。
フロアブローカーはそれぞれ常に決まったフロア外の大口トレーダーやヘッジを行う企業の注文を執行している。
そのため、ピットを回っている従業員は、どの瞬間にでも大口の買い注文や売り注文をだれが出していそうかを伝えることができた。
ある朝、席に着いているときに、私はテレビでたまたま地方局の経済番組を見ていた。
すると、ハインホールド・コモディティーズ(当時は世界でも最大級の養豚業者)の部長がインタビューを受けていた。
この部長は豚肉の先物を今買うのがいかに良い投資かを力説していた。
彼には豚肉の価格が上がるべき理由がいくらでもあった。
話を聞いているときに、ブローカーの電話が鳴り始めていることに気づいた。
明らかに、シカゴ地区で自宅から商品取引を行っているトレーダーたちが同じ番組を見ていたのだ。
オフィスのブローカーのほぼ全員に豚肉先物の買い注文が殺到していたからだ。
それまで比較的静かだったのとは対照的に、その動きはかなりの騒ぎを引き起こした。
ブローカーたちが顧客の買い注文に時刻印を押して、フロアに伝えている間に、見回りをしているメリルリンチの従業員の一人がスクワークボックスを通じて何が起きているかを報告するために、たまたま豚肉のピットに立ち寄った。
彼は個人トレーダーから大量の買い注文が入っているのに気づいた。
それにはメリルリンチの顧客だけでなく、当時のほかの大手ブローカーの顧客も含まれていた。
もちろん、豚肉の価格はすぐに上げ始めた。
すると、メリルリンチの従業員はごく当たり前のことのように、ハインホールドが主要な売り手だと伝えた。
その意味は、個人トレーダーや経験が浅くて「弱い」トレーダーによって価格が上昇するのを待って、彼らの買い注文に対してハインホールドが売り始めたということだ。
基本的に、ハインホールドは極めて大量のポジションをヘッジする必要があり、そのためには、彼らの売り注文を引き受けるだけの買い注文数が取引所にあることが必要だったので、部長をテレビに出演させて、トレーダーが豚肉先物を買うように勧めたのだ。
思い出そう。
大口注文を出すと価格が動く可能性があるのだ。
そのため、大口注文を出そうとするヘッジャーにとって、自分たちの意図を明らかにして、得になることはまずない。
言い換えると、大口のポジションを取るトレーダーはそれを明らかにすることで何らかの経済的な利益が得られるのでないかぎり、そうする意図に関して大ウソをついているということだ。
関心がある人のための注おそらく見回っているメリルリンチの従業員はテレビを見る機会がなかったと思われるので、ハインホールドの部長が豚肉先物の価格を予想していたことを事前に知ることはなかっただろう。

大口のスペキュレーター

第二の例は大口のスペキュレーターだ。
具体的な説明はしなかったが、市場がある種の状況にあるときに、彼らは大口注文を使って、弱く未熟なトレーダーにポジションを取るように仕向ける戦略を実行して、その反対側を引き受けて利食いをする。
あるいは、ポジションを手仕舞わせて、より魅力的な価格で弱いトレーダーに取って代わる。
さて、次の例を見る前に、思い出しておいてほしいポイントが二つある。
実際にヘッジを行うヘッジャーは利益を取ることを意図していないので、勝とうとしない。
そのため、ヘッジ後に価格が動くかどうかや、どちらの方向に動くかは彼らにとって重要ではない。
一方、スペキュレーターは常に勝つためにトレードをしているので、価格が動く必要がある。
そのため、大口の洗練されたスペキュレーターはよく、利益になる方向に価格を意図的に動かそうと積極的に働きかけることで、自分が勝つようにトレードを組み立てる。

市場の情報を支配する

最後に見るトレーダーは基本的に残りの市場参加者であり、価格を自分の利益になる方向に動かす資金力も心理面での処理能力も持たないスペキュレーターだ。
あなたがこの記事を読んでいるのなら、あなたはおそらく、ほかのトレーダーの動きを完全に当てにして利益を得るトレーダーの部類に入るだろう。
そうであれば、売買注文の流れが自分の利益になる方向に片寄るほどの数量で、ほかの人たちが注文を出してくれないかぎり、あなたは勝てない。
あなたの状況を支配する、次の三つの基本的な条件について考えよう。

  • あなたがトレードをしている唯一の理由は勝つためだ。
  • そして、あなたは勝つために値動きを必要とする。
  • だが、注文の流れを自分の利益になる方向に片寄らせるほど、積極的な役割を果たす力はない。

そこで、次の質問について考えてほしい。
あなたがトレードをしようと決めたあと、あなたに利益をもたらす注文の流れの片寄りはだれが作り出すのだろうか。
この章の初めに、注文の流れを生み出すさまざまなヘッジャーとスペキュレーターを取り上げた。
そこで、あなたは自問しなければならない。
極めて多様な市場参加者によって出される可能性がある買いや売りすべてのなかで、だれの注文があなたのトレードに利益をもたらすのか。
また、なぜ彼らはそうするのか。
逆に、次のことも自問しなければならない。
これら同じ参加者の一部があなたのポジションと逆方向にトレードをするのをやめて、あなたのポジションに有利に注文の流れを片寄らせる理由は何なのか。
特別な能力がなくとも、少し考えれば、次のことが事前に分かる人はだれもいない、とおそらく思いついただろう。

  • 次の注文がどこから出されるか
  • それはどれくらいの数か
  • それは買いか売りか
  • それは買い注文数と売り注文数の比率にどんな影響を及ぼすか価格を動かすために大口注文を出すトレーダーでさえ、目的を達成できるかどうかは分からない。

自分がポジションを取った瞬間やそれ以降に、対立する注文がどれくらい入ってくるかを知る方法はないからだ。
例えば、大口のヘッジャーがヘッジの相手方として必要な大量の買い注文か売り注文を待っている場合もある。
そのヘッジャーの注文によって、スペキュレーターの注文は結局、吸収されてしまい、価格価格がほとんど動かないこともある。
これはヘッジャーがまさに望んでいることだ。
価格が自分たちの不利な方向に動かずに、注文が約定するからだ。
しかし、スペキュレーターにとっては、これは良い状況ではない。
大量のポジションを取って、自分の有利な方向に価格が動かなかったからだ。
つまり、含み益がないのだ。
そして、手仕舞うためには、仕掛けたときと反対方向にもう一度、大口注文を出さなければならない。
トレードの相手方となるのに十分な買い注文か売り注文がなければ、彼はその注文を見つけるために、自分の不利な方向に価格を動かさざるを得ない。
手仕舞うために、自ら損失を生じさせるのだ。
私がここで言いたいポイントはこうだ。
実際に価格を動かすほど大口の注文を出せるスペキュレーターですら、その後に何が起きるか分からないのであれば、さまざまなファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行って、何が起きそうかを予測している残りの私たちにとって、それは何を意味するのだろうか!私たちは価格がどの方向に動くか売買注文の流れを決める実際の仕組みと関係を持っていない。
それなのに、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析の一体、どの部分が役に立って、価格が動く方向を正確に予測できるのだろうか。

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